研究課題/領域番号 |
12680030
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長ヶ原 誠 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (00227349)
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研究分担者 |
山口 泰雄 神戸大学, 発達科学部, 教授 (90094531)
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キーワード | スポーツ振興事業 / アセスメント / 都道府県 / 社会生態学的妥当性 / 高齢者 / 市区町村 / カウチポテト / 社会生活基本調査 |
研究概要 |
本年度の研究計画は次の2点であった。1.社会生活基本調査二次分析による都道府県別の高齢者スポーツ実施率分析、2.全国市町村調査による高齢者を対象とした自治体スポーツ振興事業の評価分析、3.質的アセスメントの最終決定。これらの研究計画に関する主要な成果は以下の通りである。 1.社会生活基本調査二次分析による都道府県別の高齢者スポーツ実施率分析を行った結果、1年間のスポーツ実施率は高齢者人口率が高くなる県ほど低下する傾向が見られた。将来の超高齢社会におけるスポーツ非実施者(カウチポテト人口)はますます増加することが予測され、今後はこの非実施層に対する振興アプローチの重要性が示唆された。2.全国市町村調査による高齢者を対象とした自治体スポーツ振興事業の評価分析を行った結果、スポーツ振興事業に関して評価を実施している自治体は少なく、今後の評価方法に対する情報支援の必要性が明確となった。PPモデルに基づく社会生態学的妥当性の測定方法である「ドミノ評価方式」という質的アセスメント方法を応用した結果、4つの評価要素である、事業過程評価、条件改善評価、行動改善評価、結果評価の中で行動改善評価と結果評価に関する評価の視点が事業の中で考慮されていないことが明らかとなった。質的に高齢者スポーツ振興事業の成果を分析した結果、事業の目的が高齢者自身の意識や態度と同時に、その周りの人的資源や社会的・物理的環境にも向けられている方が単一の目的をもつ事業よりも効果的である傾向が示された。したがって今後の事業の方向性としてこれまでの施設・プログラム重視の受け皿を準備するだけの支援事業ではなく、高齢者自身の動機づけやエンパワーメントに注目したキャンペーン事業を含めた総合的事業を展開していく必要があろう。
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