研究概要 |
本研究の目的は,バレーボール男子国際大会(イタリア,ロシア,キューバ,ブラジル,カナダ,日本)を2台のSVHSビデオカメラにより撮影し,リードブロックシステムにおいて中心的存在となるセンターブロッカーのブロック動作をDLT法により定量分析して,コンビネーション攻撃に対抗するセンターブロックの技術特性を明らかにすることであった。本研究で得られた知見を要約すると次のようになる。 相手のセッターがトスを上げた(ボールがセッターの手から離れた)瞬間におけるセンターブロッカーの両手の高さは,平均では左手1.60m,右手1.62mであり,Aクイックに対するブロック時に比較してみると約40cm低くなっていた。助走は,右足を踏み出し(1歩目),その右足で床を強く蹴りほとんど同時であるが,左足(2歩目),右足(3歩目)の順で踏み込むクイックスリーステップと,その1歩目を除いたツーステップで行われていた。踏切時間は平均0.195秒であり,各選手において大差は認められなかったことから,移動中に両肘を肩の高さに保って踏切ってジャンプする方法と両肘を下げて踏切の際に腕の振りを使ってジャンプする方法において時間的には大きな違いはなかった。踏切開始時付近に身体重心を最も下げていた。踏切開始時膝関節角度は右膝が平均147.7度,左膝が平均145.8度であった。踏切開始時には体はわずかに進行方向を向いているものの,踏切終了時にかけてそれを修正しながらネットの方に体を向けていた。空中局面における肩関節角度変化を見ると,ほとんどの選手が140度から150度に角度を保ったまま両手を前に突き出すようにブロック姿勢をとっていた。
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