研究概要 |
本研究は,随意運動と関連する体性感覚誘発電位の経時的変動特性について,自発的な随意運動とCNVパラダイムの反応動作条件との比較から検討することを目的とした.体性感覚誘発電位と同時に脳運動関連電位,CNVも併せて記録を行い,体性感覚誘発電位については右栂指運動の発現前後わたる区間から測定した.各被験者の頭皮上から記録されたN20とN18を500ms単位とする7区間ごとに解析し,刺激条件は,右手首の正中神経及び皮膚神経刺激とした.解析区間は運動発現に先行する2.0secから動作後0.5の区間として,実験ごとに16名(実験(1))と18名(実験(2))の被験者から記録した. 正中神経刺激によるN20成分は運動の前後にかけて顕著な抑制を示したが、N18成分については明白な抑制は見られなかった(実験(1)).すなわち手首からの混合性正中神経刺激による体性感覚誘発電位の記録においては,N20とN18とでは異なった変動を示すことが確認された.しかし指の皮膚神経刺激によって得られる体性感覚誘発電位で検討した場合,このようなN20とN18成分の変動差は認められなかった(実験(2)).これらの結果から,gating効果の発生要因としては中枢側要因に加えて,より末梢神経的要因による求心性の感覚情報処理の変動が反映されることが推測された.
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