1.研究目的:オリンピック開会式の芸術プログラムの実際とテレビ映像および記録映画において、そこで表現されている文化的な意味を分析・記述・解釈し、明らかにすることにある。 2.和文・英文の関連文献の収集、オリンピック映画および開会式の映像の収集:VTR作品化されていない映像を渉猟するため、ドイツオリンピック研究所およびスイスのローザンヌのオリンピック博物館に出向いて文献資料と映像資料を収集するとともに、専門的知識の提供を受けた。 3.研究成果の公表とシドニー・オリンピック開会式の取材調査:(1)これまでの研究成果の整理と今後の研究方向の枠組みについてシドニー五輪時の国際学会で報告し、その有効性を世界に問うた。また、オリンピック研究者間で情報交換するネットワーク組織の編成に携わった。さらに、文化的プログラムの分析枠組みを精緻にするために専門的知識の提供を受けた。(2)シドニー・オリンピックの開会式に実際に参席し、開会式の芸術プログラムを実地取材・調査した。 4.資料の分析・整理:(1)収集したオリンピック映像や開会式におけるオリンピズム関連の場面や文化性を抽出し、検索体制を整えた。(2)米国、カナダ、オーストラリアの英語圏諸国で放映されたシドニー・オリンピック開会式のテレビ放映のVTRを収集し、その放映内容と解説を実際の取材記録および日本の放映と比較分析し整理しているところである。 5.現在までに得られた知見の一部は学術誌とオリンピック研究者国際パネルで発行される英文書籍に投稿し、印刷中である。その概要は、グローバルカルチャーであるオリンピックにおいても、文化プログラムでは開催都市のローカリズム、地域文化、国際文化、普遍的芸術文化などが混在していること、および各国のテレビ放映にはナショナリズムが強固であるということである。
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