| 研究概要 |
若齢期からの継続的な運動がマウス脾細胞のサイトカイン産生およびその遺伝子発現に及ぼす影響について検討した。生後4週齢のBALB/c系雄性マウスを用い、運動群(n=15)と安静群(n=15)の2群に区分した。運動は、運動量測定装置を用いた自発運動を暗期の12時間、週3日、8週間にわたって実施した。結果の概要は以下のようであった。
1.一日あたりの平均走行距離(m/day)について:実験期間中、運動群の一日あたりの平均走行距離は、約6,500〜10,400mを推移した。運動開始4週間まで漸次増加し、その後低下傾向を示した。
2.体重、食餌摂取量、胸腺重量、副腎重量および前頸骨筋重量:(1)体重、相対胸腺重量および相対副腎重量では、両群ともに同様な値を示し差異は認められなかった。(2)食餌摂取量と相対筋重量では、安静群と比較して運動群が有意に高値(P<0.01)を示した。
3.T細胞系免疫機能について:(1)ConA刺激に対する脾細胞増殖反応では、安静群と比較して運動群が有意に高値(P<0.01)を示した。(2)脾リンパ球のグルコース取り込み量では、対照群より運動群が高値傾向(P<0.1)を示した。(3)サイトカイン産生能(ConA刺激)では、運動群でIL-2が高値を示し、安静群と比較して有意差(P<0.05)が認められた。インターフェロン-γ(IFN-γ)は運動群で高い傾向を示した(P<0.1)。(4)遺伝子発現量では、運動群のIL-2が有意に高値(P<0.05)を示した。一方、IL-10は、運動群が対照群より低値を示し、有意差が認められた。
以上のように、若齢期からの運動は、ConA刺激に対する脾細胞増殖反応やIL-2産生能を高めることから、T細胞の分裂予備能力を亢進するものと考えられた。さらに、IL-2産生能の亢進は遺伝子レベルでも観察された。このことから、習慣的な運動はT細胞機能を増強し、生体防御機能め促進に有用であることが示唆された。
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