若齢期からの継続的な運動がマウス腹腔マクーファージおよび脾細胞のサイトカイン産生およびその遺伝子発現に及ぼす影響について検討した。生後4週齢のBALB/c系雄性マウスを用い、運動群と安静群の2群に区分した。運動は自由運動(回転ケージ:20:00-8:00に実施)とし、8週間にわたって実施し。結果の概要は以下のようであった。 1.体重、食餌摂取量、胸腺重量、副腎重量および前頸骨筋重量:(1)体重、相対胸腺重量および相対副腎重量では、両群ともに同様な値を示し差異は認められなかった。(2)食餌摂取量と相対筋重量では、安静群と比較して運動群が有意に高値(P<0.01)を示した。 2.マクロファージ機能について:(1)NO_2産生能では、運動群が有意に高値(P<0.01)を示した。運動群のL-1β、IL-12およびGM-CSFが高値を示し、安静群と比較して有意差(P<0.05-P<0.01)が認められた。 (2)遺伝子発現能では、運動群のNO_2、GM-CSFおよびIL-12が有意に高値(P<0.05)を示した。 3.脾リンパ機能について:(1)サイトカイン産生能(ConA刺激)では、運動群でIL-2が高値を示し、安静群と比較して有意差(P<0.05)が認められた。インターフェロン-γ(IFN-γ)は運動群で高い傾向を示した(P<0.1)。(2)遺伝子発現能では、運動群のIL-2が有意(P<0.05)に高値を示した。一方、IL-10は、運動群が対照群より低値を示し、有意差(P<0.01)が認められた。 以上のように、習慣的な運動はマウス腹腔マクロファージと脾細胞のサイトカイン産生能およびその遺伝子発現の一部を亢進するものと考えられた。このことから、若齢期からの継続的な運動はマクロファージおよびT細胞機能を増強し、生体防御機能の促進に有用であることが示唆された。
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