研究概要 |
平成14年度の研究は,1)平成12年度から13年度に実施した家庭型(および地域型)運動で運動の効果が確認されたものの,運動の種類による効果の相違や特徴などが明らかでなかったことを踏まえ,新たにエアロビクス,レジスタンス,柔軟性,バランスおよび対照群(非運動群)の運動群を設定し,運動の効果を調べた。被験者は,地方新聞広告によって募集し,最終的な被験者数は85人(平均年齢73±6歳)であった。このうち男が42人(平均年齢71.5±4歳),女が43人(平均年齢74.9±7歳)であった。いずれも運動は週2日とし,運動の場所は大学で実施した。エアロビクスは歩行が中心,レジスタンスはゴムバンドを利用した運動,柔軟性はストレッチング,バランスはフォームパッドを用いた運動でいずれも週2回教室として実施した。本研究での運動は家庭でおこなうことを前提とした研究であるが,助成の最終年度である本年は正確に運動をおこなってもらうために家庭で実施する運動を監視型でかつ大学でおこなうこととした。データの処理としてはrepeated measures ANOVAによって検討した。なお,研究の前提では,あくまでもインフォームドコンセントを得てかつ参加者の自発的意志を尊重した運動教室の展開であったために男女または運動群別に運動前のテストで項目によってはmain effectに有意差有意差が認められた。こうした研究の限界が認められたが,結果は以下のようであった。3か月間に亘る運動の種類によって運動効果が明らかに違っていた。3か月間の運動によって12分間歩行距離はエアロビクス群は15%の増加が認められたが,その他の群は2〜3%程度の改善であり,対照群は低下していた。一方,チェアースタンドは,レジスタンス群とバランス群が32,37%の改善が認められたが,他は3〜4%程度であった。バランス指標はバランス運動群が優れていた。このように特異性が認められ,改めてwell-rounded exerciseの重要性が確認された。
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