研究概要 |
平成12年度は、家庭型運動プログラムを作成し,地域高齢者を対象に3か月間指導して運動効果を検討し,13年度は2年間の追跡調査をし,効果の持続と維持について検討た。運動は歩行,バンドによる筋力づくり,ストレッチを用いたが,教本,ビデオテープを併用し,公民館にて正しい方法を習得させた。短期間の運動効果が明らかであったが,2年間に及ぶ家庭型運動により筋力が向上し,かつ維持していることが明らかとなった。一方,柔軟性や動的バランスは顕著な改善が示された(P<0.05)が2年後有意に低下していた。12分間歩行距離などは効果が消失している傾向がみられた。運動種類の効果の違いが認められたが,種類の違いか運動量の相違によるものかなどが不明な部分があり,平成14年度は,エアロビクス,レジスタンス,柔軟性,バランスおよび対照群(非運動群)の運動群を設定し,運動の効果と特異性を調べた。被験者は男女85人(平均年齢73歳)であった。運動は週2日とし,運動の場所は大学で実施した。エアロビクスは歩行が中心,レジスタンスはゴムバンドによる運動,柔軟性はストレッチング,バランスはパッドを用いていずれも週2回教室として実施した。3か月間の運動により12分間歩行距離はエアロビクス群が15%の増加が認められたが,その他の群は2〜3%程度の改善であり,対照群は低下していた。一方,チェアースタンドは,レジスタンス群とバランス群が32,37%の改善が認められたが,他は3〜4%程度であった。バランス指標はバランス運動群が優れていた。このように運動の特異性が明らかに認められたが,運動の実践により4種類の効果が明らかとなったことからみればいかに行うかという高齢者自身が理解しやすい運動方法の具体的提示とwell-rounded exerciseの導入の重要性が認められた。今後はこうしたプログラムの普及発展が求められよう。
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