研究概要 |
本研究の目的は、看護大学生の体格・体力を運動実施状況との関連を踏まえて追跡調査するとともに、看護実習中の身体的負担度と体格・体力との関連を検討することにより、看護職従事者として備えておくべき体力要素とその水準を明らかにしていくための基礎資料を得ることである。本年度は、平成11年秋から平成12年春にかけての看護実習期間(およそ50日)を経た本学在学生女子46名を対象に、身体の構造(体格、身体組成、骨強度)と機能(脚伸展パワー、有酸素性パワー、握力、背筋力、垂直跳び、長座体前屈)の測定評価を行うと同時に、看護実習期間における生活習慣、体調や身体的負担度(倦怠感、疲労感、痛みや異常を来す病的症状などの程度)及び体力に対する自己評価などについて、質問紙調査を行った。その結果、実習中、疲れる原因であると思う項目の合計数(26問中)の多かった者ほど脚伸展パワーが低いことが判明した(r=-0.39,p<0.05)。また、実習中の自覚症状を聞く51項目で「しばしば」もしくは「いつも」あったと応えた項目数が10以上あった群は、そうでない群に比べて脚力と握力の平均値が有意に低かった。一日の実習後の疲労の程度が高い群ほど痩せ気味で筋量が少ない傾向にあり、無酸素性パワー、有酸素性パワー、柔軟性など体力全体に渡って有意に低い平均値を示した。そして、ほぼ全員(46名中45名)が、看護実習を行っていく上で体力は必要だと思っており、特に必要な体力要素としてスタミナ(全身持久力)を挙げていた。来年度以降も、実習を経た学年ごとに同様の測定・調査を行い、標本数を増やして更に細かい検討を行っていく予定である。
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