研究概要 |
平成14年度は,過去2年間の研究結果に基づき,V02 slow成分の成因として,大腿部の筋群の動員様式ならびに各筋内の筋繊維動員パターンが関与するか否かを検討することを目的とした.そのために再び自転車こぎ運動を選択し,また初年度のrepeated-bowts運動プロトコールに対する^1H-MRIの適用上の問題点(すなわち,2回目の運動時での評価の困難さ)から,single-boutにプロトコールを変更して実施した。ただし,より詳細な検討を可能にするために,運動強度をVO2 slow成分の出現のあり・なしが顕著な3段階用意し,また対象とする筋には大腿部の筋群に腰部の大殿筋まで加えた。運動の前後で^1H-MRIによる大腿部横断面撮像を行い,対象とする筋のT2値を測定することで、各筋の動員程度を定量化した。運動は3強度(運動強度:AT以下,ATとCPの中間,CP以上)での一定負荷運動を6分間として正確なVO2動態を測定した。なお,運動を3分で止めてMRI計測を行うプロトコールも別途に設定した。この理由は,VO2 slow成分の出現は運動開始後3分目あたりで,後半3分間の筋動員情報を^1H-MRIで取り出すことには意味があると考えたからである。その結果,VO2 slow成分と関連性のある動員を示した筋として,外側広筋,内側広筋,大内転筋があげられた。本研究では,さらに最新の画像処理技術を適用することで,各筋内のピクセル毎のT2値の「分布」を詳細に解析し,その分布が運動に伴ってどう変化するかを分析することで,非常に筋繊維レベルに近い動員情報を得ることが可能となると考え,現在,その解析を実行中である。
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