筋出力に見られる両側性機能低下の割合は、両側性あるいは一側性のレジスタンス・トレーニングによって特異的に修飾される。一方、両側性機能低下に、速筋線維の運動単位の抑制が関与していることを示唆する研究報告がある。そこで、両側性機能低下にみられるlateral specificityの出現様相が、トレーニング速度によって異なる可能性を検証することを本研究の目的とした。 体育大学学生51名を両側高速(120cm/s)群、一側高速群、両側低速(40cm/s)群、一側低速群の4つのトレーニング群とコントロール群に分けた。トレーニング群には等速性脚伸展パワートレーニングを週3日、6週間行わせた。トレーニング開始前、3および6週間後に120cm/s、40cm/sでの両側性および一側性脚伸展パワーを測定し、両側性機能低下の割合を計算した。 両側高速群の120cm/sにおける両側性脚伸展パワーはトレーニングによって有意に(P<0.01)増加したが、それ以外の測定条件における両側高速群および一側高速群の全ての脚伸展パワーは、統計的に有意な変化を示さなかった。両側低速群および一側低速群は、全ての測定条件における脚伸展パワーが有意に増加した(一側低速群の40cm/sでの両側性パワーを除く)。 両側高速群の120cm/sおよび両側低速群の40cm/sにおける両側性機能低下の割合は、トレーニングによって有意に(P<0.05)減少し、一側低速群の40cm/sにおける両側性機能低下の割合は、トレーニングによって有意に(P<0.05)増加した。それ以外の条件では顕著な変化が見られなかった。 両側性機能低下の割合に及ぼすトレーニングの効果には、両側性トレーニングにおいてのみ速度特異性がみられ、低速トレーニングにおいてのみlateral specificityがみられた。
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