単純反応時間に見られるbilateral deficitについては、反応スピードトレーニングの効果にlateral specificityが観察されない。選択反応時間に及ぼす影響について調べるために、被検者34名を単純両側反応トレーニング群、単純一側左反応トレーニング群、単純一側右反応トレーニング群、選択反応トレーニング群、対照群の5群に分け、各反応時間課題を10試行×2ブロック、週3日、6週間練習した。3および6週間後の選択反応時間はトレーニング開始前より短縮した(p<0.05)が、群間に有意差は見られず、トレーニング効果の特異性はみられなかった。これは、両側性および一側性の反応スピードトレーニングが単純反応時間に及ぼす効果と同様の結果であった。 レジスタンス・トレーニングが両側性機能低下に及ぼす影響には、lateral specificityが見られる。一方、両側性機能低下に、速筋線維の運動単位の抑制が関与していることを示唆する研究報告がある。そこで、両側性機能低下にみられるlateral specificityの出現様相が、トレーニング速度によって異なる可能性を調べた。体育大学学生51名を両側高速(120cm/s)群、一側高速群、両側低速(40cm/s)群、一側低速群の4つのトレーニング群とコントロール群に分け、トレーニング群には等速性脚伸展パワートレーニングを週3日、6週間行わせた。両側高速群の120cm/sおよび両側低速群の40cm/sにおける両側性機能低下の割合は、トレーニングによって減少し(P<0.05)、一側低速群の40cm/sにおける両側性機能低下の割合は、トレーニングによって増加した(P<0.05)。それ以外の条件では顕著な変化が見られなかった。両側性機能低下の割合に及ぼすトレーニングの効果には、両側性トレーニングにおいてのみ速度特異性がみられ、低速トレーニングにおいてのみlateral specificityがみられた。 レジスタンス・トレーニングが両側性機能低下に及ぼす影響に見られるlateral specificityは、一側性トレーニングを左右両肢について実施した場合についてのみ明らかであり、左右のどちらか一肢のみのトレーニングが両側性機能低下に及ぼす影響については明らかにされていない。そこで、体育大学男子学生41名を一側右脚群、一側左脚群、一側左右脚群、両側群、コントロール群に分け、等速性脚伸展パワートレーニングを120cm/sの速度で週3日、6週間行わせ、両側性機能低下の割合(BI)の変化を調べた。トレーニング開始前には5群のBI間に有意差はなかったが、トレーニングによって一側右脚群、一側左脚群、一側左右脚群はBIが負の方向にシフトし、正の方向にシフトした両側群のBIとの間に有意差(P<0.05)が認められた。したがって、一肢のみの場合も左右両肢について実施した一側性トレーニングと同様の影響を持つことが明らかになった。
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