研究課題/領域番号 |
12680053
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
室 増男 東邦大学, 医学部, 教授 (80112887)
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研究分担者 |
岡 和之 東邦大学, 医学部, 講師 (10120247)
只野 ちがや 東邦大学, 医学部, 助手 (40261094)
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キーワード | 心臓副交感神経再興奮 / 心拍減衰時定数 / 回復心拍数 / 有酸素運動 / 加齢 |
研究概要 |
本研究は、メソサイクル長期有酸素運動習慣を持った成人の運動終了直後における心臓副交感神経再興奮能力を検討した。同時に児童のそれについても検討した。被験者は8歳〜65歳の102人を対象とし、自転車エルゴメータによる軽負荷運動を実施した。各被験者には測定数日前にボルグ係数11〜12を申告させ、ペダリングの習熟訓練を実施した。ただし児童の場合はボルグ係数を使わず、心拍数の安定した負荷を採用した。運動停止後直ちに椅座位姿勢で回復RRIを5分間計測し、回復30秒間の心拍RR間隔(RRI)から減衰時定数(HR_<TC>)と回復10秒間の直線的減衰勾配(HR_<RS10>)を求め、心臓副交感神経再興奮機能評価に用いた。その結果、HR_<TC>は20歳代が52.2±4.11secともっとも速く、以後加齢とともに遅延した。60歳代(85.0±15.33sec)では20歳代と比べて顕著に遅延した。一方HR_<RS10>は20歳代が-1.289±0.197bpmとHR_<TC>同様に加齢とともに減少した。60歳代(-1.072±0.143bpm)では20歳代と比べて顕著に低下した。児童のHR_<TC>は20歳代とほぼ同様であったが、HR_<RS10>は-1.246±0.147bpmと20歳代より減少傾向にあった。心臓副交感神経調節能力は児童期ですでに発達し、20歳代以降加齢にともなって減少している。しかしその反射的調節要素(HR_<RS10>)については児童期でまだ十分発達していないことが示された。またHR_<TC>とHR_<RS10>の関係は20歳代の若年者で高い相関が認められ、心臓の反射的活動と迷走神経再興奮のカスケード的調節関係の存在が示唆された。しかし児童と高齢者のHR_<TC>とHR_<RS10>に対する関係ははっきりと現われなかった。それらの結果から加齢に対する心臓活動調節系のバランスの変化がHR_<TC>とHR_<RS10>の関係に表れているものと推察された。
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