研究概要 |
近年、授業過程認知の能力や意思決定とそれを行動化する能力との関連から「反省(的思考)」「リフレクション」「省察」などの教師の「授業づくり」に関わる思考過程に注目し,教師の力量形成と専門的成長を論ずることに関心が向けられている.そこでの研究方法論に注目すると,実践者(当事者)と研究者(観察者)の関係のあり方にも焦点が注がれ,従来の「外部観察者の視点」よりも「当事者の視点」を重視する研究デザインも提起され,「カンファレンス」「共同的な観察体制」の必要性が指摘されている.そこで,本研究では,集団による共同研究,とりわけ,同僚性としての連携をもたらす教師(実践者-研究者)相互の関係性に注目し,体育授業を対象とした参加観察による授業観察を実施し,授業検討会における参加者の発言の概要から「共同研究者」としての「参加観察者」の授業づくりについて検討した.(1)参加観察者の発言には,実践者の関心事に各々の関心(実践者の意図,子どもの実践者・友だち・教材に対する思い,子どものノリなど)から迫ろうとする個性的な観察視点に基づいていると解釈できるものがみられた.とりわけ,実践者の実践構想に関わった特定のグループ,個人の技能習熟やグループでの仲間関係についての観察内容を実践者に伝えようとする意図をもった発言が顕著であった.(2)しかし,その一方で,実践者が行うことの理解や課題の共有を深めようとすればするほど,特定の子どもやグループの活動に焦点化した観察に伴った印象をもとに実践課題に対する情報を取捨選択する傾向もみられた. 上記の研究の一部については,日本スポーツ教育学会第21回大会(群馬大学)および九州体育・スポーツ学会第50回大会(鹿児島大学)において口頭発表を行った.
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