研究課題/領域番号 |
12680068
|
研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
金 憲経 (財)東京都老人総合研究所, 疫学, 研究員 (20282345)
|
研究分担者 |
吉田 英世 (財)東京都老人総合研究所, 疫学, 研究員 (00242735)
西嶋 尚彦 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (50202239)
竹島 伸夫 名古屋市立大学, 自然科学研究教育センター, 助教授 (00137126)
鈴木 隆雄 (財)東京都老人総合研究所, 疫学, 副所長 (30154545)
|
キーワード | 転倒 / 転倒外来 / 転倒恐怖感 / 転倒予防教室 / 身体機能 / 高齢者 |
研究概要 |
高齢期の転倒を予防することは骨折リスクを減らし、結果としては寝たきりの防止につながることから、転倒予防策を立てることは、高齢者の生活自立や健康余命の拡大に大きく寄与すると思われる。このような背景に基づいて、平成12年度に行なった本研究の概要は次の通りである。 1.対象者:東京都老人医療センター「転倒外来」を受診した外来患者の中で、東京都老人総合研究所の「転倒予防教室」で調査・測定を受けた66〜88歳の高齢女性43名である。 2.1)調査項目:転倒・骨折の既往、転倒恐怖感、健康度自己評価、BADLなどについての面接調査。 2)測定項目:筋力、バランス能力、歩行能力を推定する12項目。 3.結果 1)転倒の実態:対象者の70.7%が過去1年間で転倒した。転倒回数は、44.8%が1回の転倒、55.2%が2回以上の複数回の転倒。転倒の原因は、つまずいた44.8%、滑った17.2%であり、転倒によるケガは打撲34.5%、骨折が20.7%であった。 2)転倒恐怖感は、53.7%が「とても恐い」と、31.7%が「すこし恐い」と回答し、転ぶことが恐くて外出をひかえることがあるかは、「はい」23.7%、「ときどき」7.9%、「いいえ」68.4%であった。 3)転倒群と非転倒群間の比較 (1)転倒恐怖感:転ぶことが恐いと感じる人の割合は転倒群86.2%、非転倒群83.4%であり、転ぶことが恐くて外出を控える人の割合は転倒群40.7%、非転倒群9.1%であった。 (2)生活機能:BADLは転倒群、非転倒群ともに100%自立であった。IADLの自立は転倒群で75.0%、非転倒群で91.7%、知的能動性の自立は、転倒群60.7%、非転倒群83.3%、社会的役割の自立は転倒群32.1%、非転倒群50.0%であった。 (3)身体機能:転倒群は非転倒群に比べて、すべての項目の成績が低い傾向であった。両群間の平均値を危険率5%水準で比較検定したところ、開眼や閉眼の動揺軌跡長、開眼片足立ち、タンデム歩行、握力、下肢伸展力の6項目においては有意差がみられ、転倒群の方が有意に劣ることが観察された。 (4)転倒恐怖感のために外出を控える者と控えない者の間の身体機能の比較を行なったところ、外出を控える者は開眼片足立ち、Up&Goテスト、握力、膝伸展力の成績が有意に低いことがみられた。
|