| 研究概要 |
本研究は1980年代以降における4広域中心都市(札幌,仙台,広島,福岡)の成長力を従業者の動向に焦点を当てて比較検討したものである.その結果,下記の諸点が明らかになった.
(1)広島の人口・従業者の増加率は1980年代以降他の3都市に比べて継続して低い.それは主に流通産業の成長の鈍化に要因があり,中心性の相対的低下を示唆する.(2)札幌の従業者は福岡・仙台とともに相対的に高い増加率を維持しているが,東京企業などの支店従業者の増加率は低く,中央企業による拠点としての評価が低下している.(3)福岡・仙台は地元企業,域外企業の従業者ともに相対的に高い増加率を示すが,仙台の場合,福岡に比べて域外企業への依存度は高い.(4)支店従業者の伸びは1990年代には4都市ともに鈍化し,支店集積が都市成長に果たす役割は低下している.ただし,福岡・仙台では中央企業に代わって地域企業の支店の増加が認められる.(5)成長産業である情報サービス産業の動向においては,福岡・札幌と仙台・広島の間に集積量に大きな開きがある.加えて,仙台の場合,支店比率が他都市に比べて高く,当該産業においても域外企業への依存の度合いが強い.
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