研究課題/領域番号 |
12680072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒井 良雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50134408)
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研究分担者 |
田原 裕子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40282511)
岡本 耕平 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90201988)
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キーワード | 生活活動 / 時間地理学 / 中国:日本 / 高齢化 / 少子化 / 生活時間 |
研究概要 |
本研究では、研究代表者・分担者や海外共同研究者が、既に実施した生活活動調査で収集した活動データを活用して、日中都市における生活活動システムの比較分析を行った。12〜13年度にわたって、相互に対象地域を訪問して現地踏査および討論を行った。踏査地域は、中国において北京市、天津市、上海市、長春市、大連市、日本において、川越市、日進市である。まず、双方が保有する既調査データを再集計し、相互比較を試みた。その結果、(1)日本都市では生活活動における男女差が著しく大きいが、中国ではその差は小さく、性別役割分担の状況が大きく異なっていること、(2)日常の生活活動空間の同心円構造が日中間で異なること、(3)中国都市では利用可能な交通機関がまだ限られていることもあって、交通行動の面でも男女差が小さいことなどが判明した。また、中国都市における生活実態の基礎的情報が日本には伝えられていないことに鑑み、中国の各訪問地で、地域住民の就業、消費、保育、高齢者福祉等に関して、現地の研究者、行政機関、各種福祉施設等に対するヒアリングを行った。その結果、(1)中国の都市生活の基盤が、政府機関や企業を基礎とする「単位」に大きく依存しており、退職後の高齢者の生活維持の保証も「単位」に任されるところが大きいこと、(2)ただし、高齢者福祉に関しては、地域の末端行政組織である「居区委員会」等の役割も大きいこと、(3)住居、女性就業、年金等の生活保障の面でも「単位」による対応を基本としているが、最近は制度の改革が進んでおり、自由市場への移行も始まっている、ことなどが判明した。また、中国都市における主婦の就業率が非常に高いことの背景には、地方の農村部から流入した人々を、保育を含めた家事サービスのために比較的低賃金で雇用しやすいことがあり、共稼ぎ家庭における保育や高齢者の介護等に大きな役割を果たしているという結論が得られた。
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