本研究は経済的中枢管理機能から西ヨーロッパの都市体系-都市間の相互結合関係-を分析することを目的とした。申請者はこれまで同機能から日本の都市体系の歴史的今日的分析、先進国(日本、韓国、西ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ合衆国)の都市体系の分析、インドなど10ヶ国の発展途上国の都市体系の分析を行ってきた。その時に、西ヨーロッパのように鱗接しあう国家群が緊密な関係を保っている地域においては国家の枠組をこえた都市体系の存在とその分析の重要性を指摘した。今回の研究はその課題に取り組んだものである。西ヨーロッパ16ヶ国をとりあげ、まず人口を指標として各国の主要都市の状況を分析した。続いて経済的中枢管理機能の本社の状況から主要都市を分析し、第1位ロンドン都市圏、第2位パリ都市圏、第3位ストックホルムとヘルシンキ都市圏という上位順序であることを指摘した。続いて大企業のbranch companyの配置状況から西ヨーロッパの都市体系を検討し、最後に銀行の支店配置から、より詳細な都市体系を検酎した。その結果、(i)西ヨーロッパという1つの地域内においても、距雌は大きな意味をもっていること、(ii)マドリッド・リスボン・ダブリン・ウィーン・オスロのようにその都市自体は多くの企業をもたないものの、数多くのbranch companyの立地都市になっている都市が数多く存在すること、(iii)それらの都市はいずれも首都であるが、国によっては、首都が多くのbranch companyをもたない国があり、ドイツ・スイス・イタリアがこれに該当する、といったことが指摘できた。それらを統合して西ヨーロッパの主要都市は相互に密接な関係にあることを指摘した。
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