研究課題/領域番号 |
12680081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山野 正彦 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20094493)
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研究分担者 |
福原 宏幸 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20202286)
島 和博 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50235602)
水内 俊雄 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60181880)
中山 徹 大阪府立大学, 社会福祉学部, 教授 (40237467)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | ホームレス / 野宿生活者 / 都市問題 / 社会問題 / 社会福祉 / 寄せ場 / NPO / 釜ケ崎 |
研究概要 |
2年度を通じて、本調査の主眼である、大阪府の野宿者に対する悉皆聞き取り調査への関与、1999年に実施した大阪市における同様の聞き取り調査との比較分析、同じく2000年初頭におこなった野宿者問題にかんする市民意識調査がいまだ検討されておらず、この調査結果に関する詳細な分析、2000年度に相次いで大阪市に開設された3ヶ所の自立支援センターの入所者に対する、サービスの適合調査、および、こうした自立支援センターを就労退所した人を対象にしたアフターケア調査を行った。またこれらの多くの聞き取り調査を総合した野宿者の職歴と就業構造の特質の解明をおこなった。 大阪府調査においては、1999年の大阪市調査や2000年の東京都調査の比較を中心に、そして野宿者に対する一定程度の政策が進行したことを踏まえ、その政策需要への評価を聞くことを新たに主題して加えている。地理学的な観点からすれば、大阪市では主要な構成要素をなしている釜ヶ崎経験者が3割台と大幅に減り、建設経験がありながら釜ヶ崎経験がない、あるいは非建設のサービスや事務職からの野宿経験者がより増えていることが特徴的であった。政策受容においては、野宿生活を続ける、自力で野宿生活を脱出する、福祉の助力を得て野宿生活を終えるというタイプがほぼ同数ずつの分布となって見られることがわかった。 一方野宿脱出のための大きな受け皿となる自立支援センターについては、入所者のサービスの満足度については高かったが、最大のネックは就労の困難さ、また就労持続のさらなる困難さであり、また集団生活によるプライバシーのなさと人間関係構築の難しさにあった。就職に関しては、退所就職は4割近くに達しているが、その後の就労状況の不安定さもあり、アフターケア調査によれば、半分以上が就労対処後になんからのトラブルなどで就労がストップし、それが即生活の不安定、あるいは生活保護、そして最悪の場合再野宿へと移行している例が見受けられた。結局就労アパート自立の可能性が1割ちょっとにすぎないという厳しい現実が明らかになった。
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