1.本研究の目的である戦前期の東亜同文書院の学生達による中国各地への大旅行日誌記録のうち、旧満州地区の日誌記録をベースにした旧満州地域の地域システム解明は、(1)関係日誌類の抽出と、それらの清書作業(原文は手書きの生原稿で読みにくい)を順調にすすめることができたこと、(2)その過程での記録の中からのキーワードの選択はもう少し時間がかかるが進行中であること、(3)それゆえ、それらをべースにした地図化もまだ試行段階にあり、次年度の課題になること、(4)旧満州地域の地域情報については収集作業をすすめつつあること、(5)東亜同文書院の卒業生への面接による聞きとりも若干すすめることができたこと、などにより、1年目としての準備作業をふまえ進行中である。 2.そのさい、満州事変以前の満州は、漢民族の入植による部分的耕地化と、若干の地下資源の開発が、ロシア側資本の鉄道開設により、部分的、局地的ネットワークを生み、集散市場もまだ流動的状況にあったことが明らかになりつつある。
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