研究最終年度に当たる本年度は、これまでの調査・研究活動において残された課題を消化することに重点を置いて取り組んだ。 まず、調査活動としては、(1)北海道立文書館の「樺太庁文書」の閲覧・撮影、(2)国立国会図書館での『樺太日日新聞』、『恵須取毎日新聞』、『新生命』等の新聞資料の閲覧・複写の2点が大きな課題として残されていた。本年度は当初からそれらに取り組んだことによって、とりあえず双方とも完了することができた。 つぎに研究活動としては、この研究費によった論文が2本学術雑誌に掲載された。そして、上記各種資料を用いた(1)研究報告書の作成、(2)1930年代以後を対象とした論文の作成が大きな柱であった。(1)はこれまでの研究期間内の既論文を加筆・修正しつつ77頁の研究報告書を作成することができた。(2)は1930年代の樺太拓殖計画と石炭業の関係に関する研究の推進と論文の執筆を行いつつあり、2004年夏には学会発表および論文投稿を行うことができる見込みである。 さらに1940年代については、これまでの論文の内容と日本植民地時代の樺太を総括するに相応しい内容の論文を構想している。特に4年間での現地調査の成果や、購入・複写した資料はかなりの量にのぼっている。それらのなかには既に論文等で用いたものもあるが、まだ未使用のものも相当数含まれており、それを有効に活用しながら、これまで遅延気味であった樺太植民地研究を総括するような内容の研究書を数年のうちに作成することが今後の大きな課題となろう。
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