本年度は、「交付申請書」に記入したように、これまでの調査の残務整理と研究をまとめて報告書を刊行することに主眼を置いた。まず、(1)国立国会図書館所蔵『樺太日日新聞』の全紙の閲覧を完了すると同時に、同館所蔵『恵須取毎日新聞』および第二次世界大戦後の同館所蔵『新生命』の記事閲覧および複写を完了することができた。これまで数年間継続しきた(2)北海道立文書館所蔵の『樺太庁文書』の閲覧・撮影も本年度に全体の閲覧および撮影を完了し、さらに昨年度まで撮影したものの失敗や未撮影分の補足撮影も完了することができた。そして、それら撮影資料のプリントアウトも完了した。これらの収集資料を用いて、まずは1930年代の樺太拓殖計画と石炭産業の関係に関する報告を7月の日本植民地研究会大会で行ったのちに、しかるべき学術雑誌に論文として投稿する予定である。また、ここ2〜3年のうちに1940年代に関する研究成果もまとめる予定である。 つぎに、報告書は、昨年度までに学会発表および学術雑誌論文として掲載が完了した原稿を中心に再構成し、別添のような報告書として刊行することができた。4年間にわたる本研究によって樺太の植民地時代のほぼ全期間に関する資料を収集することができ、また主要な都市も踏破を完了することができた。これらを踏まえて、数年間のうちに樺太植民地時代に関する著書を刊行する予定である。
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