本年度は、蒸発散量推定モデルの確立を行った.具体的には、大気境界層発達モデルと補完関係に基づくAdvection-Aridity modelを元に、土壌水分の情報を必要とせずに乾燥地の蒸発を精度良く推定できる新たな蒸発量推定モデルを開発した.開発したモデルは、中国の砂漠地帯での特別観測(HEIFE)で得られたデータセットを利用して検証し、一部アルゴリズムの改良を行うことで、より良い結果が得られるようになった.特に、問題となったのは、モデルのもとである補完関係が厳密には成り立たない場合があることが確かめられたので、その条件をゆるめ、モデルの計算の中で必要なパラメーターを決めてやりながら、蒸発量を推定するようにすることで解決された.今後残された課題は、他地域で適用できるかの検証である.
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