地表面熱収支計算用のモデルの開発がおおむね終了したので、その検証をタイ国の中央部に設置された自動フラックステーションで取得された雨季と乾季を含む長期微気象観測データを利用して行った。その結果雨期、乾期ともに高い精度でモデル計算ができることがわかった。上記モデルに1988年のISLSCPInitiative Iの地球全体のグリッドモデルを適用し世界の蒸発量の分布の試算を行った。結果を千葉大学が提供している世界各国で行われた流域水収支データセットの蒸発量データと比較し、おおむね良好な結果を得た。今後、モデルを寒冷地域の乾燥域に適用し検証を行う。その結果に基づき、モデルの改良を必要に応じて行い、再度地球全体の蒸発量分布の計算を行う予定である。一方、検証用のデータセットにも最近徐々に整ってきた、世界各地での微気象観測データを利用して行う予定である。なお、行われた研究は、5月に行われる地球惑星科学合同大会および日本水文科学会の学術大会において発表するとともに学会誌に論文として公表予定である。
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