研究概要 |
最終年度に当たる平成15年度には,モデルのさらなる詳細な検証のためにタイの複雑地勢,シベリアのタイガ林,モンゴルの草地の現地観測データ(GEWEX Asian Monsoon Experiment(GAME),Asian Automatic Weather Station Network(AAN))を利用し,日蒸発量の実測値とモデル推定値の比較を行った.タイの複雑地勢に関しては,乾期,雨期共に非常によい一致が見られたが,シベリアのタイガ林とモンゴルの草原に関しては,結果はあまり良くなかった.シベリアに関しては,現地観測で得られている地表面の粗度パラメーターが大きすぎることが不一致の原因の一つと考えられた.モンゴルに関しては,蒸発量自体が非常に少ないため,測定誤差が大きいことが不一致の原因の可能性がある.一方,モデルの内部に関しても,一部のパラメタリゼーションの見直しや,夜間の蒸発量(凝結量)の取り扱いの改良の必要性が認められた.今後,これらの点を改良して,平均的な蒸発量の分布のみならず,分布の年々の変化の解明に向けた研究を進める予定である. 得られた結果は,学会等で発表済みであるが,さらに平成16年度に予定される International GEWEX Study Conferenceにて発表の上,学会誌特集号に論文として投稿予定である.
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