研究概要 |
ポーランドと日本の扇状地の比較研究で予察的に明らかになった,仮説「開析開始時の扇状地河川は,扇状地上を蛇行する」を検証するために,昨年度に引き続き,次のことを行った。ポーランドの隣国,チェコとスロバキアには,下刻が認められない蛇行する扇状地河川が見られるので,チェコとスロバキアの地形図を昨年度購入し,扇状地の分布を部分的に明らかにした。今年度,地形図の欠落部分を,国会図書館および岐阜県図書館・世界分布図センターの地形図,さらにスロバキアで購入した地形図を使用して,完成させた。さらに,ハンガリー北部の扇状地の分布も部分的に明らかにした。スロバキアのマーレ・カルパティ山脈山麓,タトラ山地山麓およびハンガリー盆地北縁の扇状地について,2週間の現地調査を実施した。蛇行河川および細粒物質からなる扇状地を認めた。しかし,最近,蛇行河川が扇状地上にのることや細粒物質からなる扇状地を扇状地と認めない論文がでて以降,議論が伯仲するようになった。その論文は英文なので,日本語に翻訳するとともに,扇状地研究の世界の動向を総括した。その上で日本での扇状地研究の重要性を指摘した。それをふまえ,和歌山平野および富士川平野の扇状地において,礫径分析を行い,開析状態と運搬物質との関係の把握につとめた。
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