研究課題/領域番号 |
12680091
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
高橋 伸幸 北海学園大学, 工学部, 教授 (20202153)
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研究分担者 |
佐藤 謙 北海学園大学, 工学部, 教授 (70128817)
小疇 尚 明治大学, 文学部, 教授 (10061897)
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キーワード | 大雪山 / 石狩川 / 古大雪湖 / 第四紀 / 最終氷期 / 氷河・周氷河環境 / 湖成堆積物 / 軽石流堆積物 |
研究概要 |
本研究の目的は、北海道中央部大雪山地域における第四紀後期の氷河・周氷河環境を明らかにすることである。そのため、平成13年度は空中写真判読に基づき、現地で氷河地形の確認と堆積物の記載および分析試料(C14年代測定、花粉分析、粒度分析)の採取を行った。しかし、大雪山地域には、火山噴出物、地すべり堆積物、土石流堆積物など氷成堆積物に類似したものが多く、その同定には各種分析作業なども含めなお時間を要する。そのような中で、石狩川上流域に分布する湖成堆積物の採取を行い、C14年代測定を行った結果、約27000年前〜5000年前の年代値を得ることができた。この湖成層は、約3万年前に大雪山御鉢平カルデラの形成に伴い流出した軽石流堆積物が層雲峡付近で石狩川をせき止めたことにより出現した古大雪湖のものと考えられていた。今回の年代測定結果は、このことを支持するものである。さらに、最終氷期最盛期を経て完新世にいたる一連の堆積物であると考えられることから、北海道中央部における氷期から後氷期の古環境を復元する上で非常に重要な堆積物と考えられる。また、周辺部の氷河の消長を考える上でも重要である。現在、花粉分析を行っているが、その結果を加えることで周辺部のより詳細な植生状況、地表面状況も明らかになってくることを期待する。また、湖成堆積物自体は軽石を主体とするものであり、現河床の堆積物とは大きく異なる。したがって、土砂供給域の状況も現在とは明らかに異なっていたと考えられる。現在の石狩川現流域は森林に覆われ、軽石流堆積物の露出はほとんど無い。しかし、湖成層形成当時は、ほとんど無植被に近い状態で軽石流堆積物の露出が広範囲に及んでいたと考えられる。おそらく、広く氷河に覆われるか、砂礫地の広がる周氷河地域であったと推測される。
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