石灰岩片を用いた溶食量の測定は1992年から2002年まで10ヶ年にわたっておこなった。本研究費では2000〜2002年までの3ヶ年間の測定のための支援を得た。10ヶ年の溶食の結果は、北海道(旭川)から阿武隈、秋吉台、四国、龍河洞、南大東の南北差が極めて大きいことがわかった。 空中のみを比較すると、最大は四国大野ヶ原であり、当麻の3倍に達した。地中B層位では秋吉台と南大東が最も高率で溶けていて、10年間で12%で空中の4倍に達した。 同一地点において四種の石灰岩(スロベニア、桂林、秩父、それぞれの地点の石灰岩)の溶食量に差があり、スロベニアと桂林の石灰岩が最もよく溶けることがわかった。ポアアナライザーによる分析では、スロベニア、桂林と秩父の石灰岩片の間には孔隙のサイズに大きな差がないことがわかった。従って、結晶の大きさや孔隙の大きさには違いがないが、各石灰岩の化学組成に差があるためと思われる。この点は今後検討する必要がある。 各地の気候値と溶食量の関係を見ると、水収支の算出量から、年間通して地中が湿っている四国大野ヶ原や秋吉台は、土壌中の温度も高く、CO_2濃度も高く、結果的に溶食の効果を高めていることがわかった。しかし、空中においては気温と降水量のバランスが最も大事であることがわかった。特に四国大野ヶ原が最良の状況にあり、水収支の算出をした結果では水過剰量が高いことがその原因であるとわかった。 この結果をふまえ、空中の溶食モデルと地中の溶食モデルを作ることができた。また、空中と地中の溶食量の差が凹凸に富んだカルスト地形を形成することが説明でき、凹凸形から溶食経過時問の推定もできることがわかった。 今後この10年間の溶食結果をふまえて、各地に残るカルスト地形を古気候と時間軸の2つの観点から説明することができるであろう。
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