研究概要 |
3年計画の最終年に当たる本年は、過去2年間の主たる研究目標であった、風土適合住宅居住と衣服着装行動、及び家族の生活行動と住居管理の各側面について補足調査を行った。前者では四季における室内環境の変遷を高齢者の着装行動との関連で確認し、後者では住居管理の実態を主に青少年の自室管理に着目して追加的観察を試みた。高齢者は過去の伝統的住宅と違い室内温湿度等は四季を通じて平準であるにもかかわらず、季節ごとの着装行動を強く示し、これをあまり示さない青少年とは異なっていた。青少年の清掃行動は不活発で、清掃関与に男女差はなく、清掃が日常的行為でなくなっていることを示した。本年の主課題は、室内環境のうちの温湿度と微生物発生状況を結露、カビの四季ごとの追跡と、居住者の乾燥と湿気の感じ方、住居内の各部屋や一階と二階の違い等についてのヒアリングである。その結果、住居内環境のムラとそれを調整するための各種機器の導入実態が明らかになった。また、高断熱高気密住宅の環境維持と調整に欠かせない光熱費の使用実態を、全国勤労者世帯と秋田市の光熱費支出との比較でみることにより(「家計調査報告」)、調査世帯の光熱費支出の季節別パターンと比較した。結果は調査世帯の方が絶対額で月額約1,000円程度の支出増と、冬季だけでなく夏季の消費電力が大きいことが明らかになった。住宅性能が夏季の冷房費用を増大させているためである。 本研究の対象が極めて初発的な住宅商品であるため、その不具合も多様であること、開発途上商品としてのリスクは居住者持ちで、多様の補助器具を用いつつ調整していること、しかし総体としては居住者の満足度は高いことが明らかになった。
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