住宅内の湿度環境は居住者の健康と関係があり、特に身体機能の低下した高齢者にとっては、インフルエンザや皮膚の乾燥などへの影響がある。本研究では、新潟県における12軒の高齢者のみが居住する住宅を対象にヒアリング調査と全季節の温熱環境の詳細な実態測定を行い、特に湿度環境の実態を季節毎に捉え、室内温熱環境の形成要因を把握し、低湿度環境の改善を検討することを目的としている。 研究成果の概要は以下のとおりである。 1)住宅による室内温熱環境の相違は冬季において最も大きい。これは住宅の断熱・気密性能の他に暖房運転や調節などの住まい方や間取りの違いによる影響が大きい。 2)居間の湿度環境は、季節により住宅の構造や熱的な性能、暖房方法などの影響を受け異なり、特に冬季においては住宅間の差が顕著になり、他の季節より低湿となっている。 3)室内外の湿度環境の違いは季節によって異なり、夏季においては室内と室外の湿度環境は近い状態を示すが、冬季においては室内外の湿度環境の違いが顕著となる。 4)冬季における湿度環境は、相対湿度がおよそ30%になるなど住宅よって好ましくない状態となるケースがあった。また、重量絶対湿度は8g/kg'程度がほとんどであった。 5)皮膚水分量と乾湿感においては、「非常に乾燥」や「どちらでもない」が他の季節に比べ多く、低湿度の影響が推察された。 6)冬季の湿度環境の異なる3住宅を対象に、加湿器運転による湿度環境の変化について実測調査した。その結果、加湿前後の重量絶対湿度やその変動は、周壁の吸放湿性や室温を変化させる要素が各住戸により異なることが影響し、加湿効果は様々であった。しかし、居住者の居室での乾湿感や喉の乾き感及び皮膚水分量に加湿効果が認められた。
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