金沢市では、中心市街地の人口の空洞化が大きな問題となっており、中心市街地を定住の場として魅力ある環境にすることは重要である。そこで本研究では、特に居住環境のあり方が生活の質に大きく関わるであろう、高齢者・子ども・女性にとっての中心市街地居住の問題点やあり方について検討している。 元気な高齢者の外出頻度は高く、買い物、余暇活動目的の外出でバスは日常的に利用されている。コミュニティバスであるふらっとバスの認知度や評価は高い。車体などのハード面はもとより、低料金や運転手の人柄や対応の良さに大きな満足が得られている。評価が高く外出の利便性が高まることから、運行ルートの拡充を望んでいる。最も不満が表れたのはバス待ち環境であった。 子どもが日常的に自動車交通やおとなによる危険にさらされている現状が明らかになった。自転車や歩行空間、公園内のみならず公園周辺においても、歩道の整備や自動車の規制などにより守られることが必要である。公園の死角となる場所はホームレスなどの居場所や高校生などのたまり場となりがちで、子どもにとっては不安な場所となり、外遊びを阻害している。このような不安感のない公園は特に小さい子どもたちには人気があり、今後の公園・遊び場づくりに活かせるだろう。今後中心市街地では、ファーストフード店、コンビニ、ファッションや雑貨の店舗など、子どもが望む商店の増加は叶えられるだろう。しかし一方で自然や動物と触れ合えるような遊び場も望んでいる者も多い。 さまざまな場面で個人化がすすむ中、夫婦の就寝形態には夫婦寝室におさまらない現状があることがわかった。妻はかなりの割合で個室要求を潜在的に持っている。また、就寝環境の個人化志向から、夫婦別就寝希望も見られる。定住できる質を備えた住宅の計画には、夫婦寝室にそれぞれの個室を持つパターンなど、多様な選択肢をつくることも考えられるだろう。
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