衣類のドライクリーニング溶剤が、環境汚染や健康障害で問題となっている。ドライクリーニングを行っている衣類を水系洗浄で行っていくことが、今日の緊急的課題である。衣類用に最適な水系超音波洗浄システムの開発を目的として、今年度は先ず水系超音波洗浄装置の試作を中心に行った。市販の硬質表面用の超音波洗浄装置では、諸条件をコントロールできない。そこで今年度は予算の制約もあり、次の検討を行い試作機の設計を行い、試作機を完成させた。 洗濯科学協会から購入した湿式人工汚染布を用いて実験を行うため、先ず試験布固定治具の開発を行った。次いでアニオン性および非イオン性界面活性剤、市販洗剤などを洗浄剤とし、その濃度、周波数(28、38、45kHz)、洗浄液の温度、音波発生密度、発信端からの布の位置、洗浄液中で揺動などについて予備実験を重ね、一定の洗浄条件を見出した。 上述の予備実験の成果を踏まえ、洗浄装置を設計し、水系超音波洗浄装置の試作機が完成した。洗浄液の循環と脱気装置は予算の制約で今年度は取り付けできなかったが、取り付け可能なように製作した。試作機の出来上がりがかなり予定より遅れてしまって、試作機での予備実験を続行中である。
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