衣類のドライクリーニング溶剤が、環境汚染や健康障害で問題となっている。ドライクリーニングを行っている衣類をできるだけ水系洗浄で行っていくことが、今日の緊急的課題である。硬質表面の洗浄を目的とする市販の超音波洗浄装置では、布のような軟質表面の洗浄をコントロールできない。繊維のような軟質表面に最適な水系超音波洗浄システムの開発を目的として、昨年度までは水系超音波洗浄装置の試作を中心に行ってきた。 本年度は、12年度にほぼ完成した布の水系超音波洗浄試験試作装置を用いて、国内外の各種汚染布の洗浄性について、パラメーターを変えて、主として、個体粒子汚れの洗浄性について調べた。周波数(28、38、45kHz)、洗浄液の温度、音波発生密度、発信端からの布の位置、洗浄液の揺動の影響などについて、一定の洗浄特性を見出した。 実験の途中から、日本の洗浄試験布に含まれるゼラチンの原料が、狂牛病問題のために変更され、また基布も変わってしまったことなどが原因で、これまでのデーターとの比較が困難となってしまった。これまでの汚染布と同じ洗浄性を示すもが製造される見通しが立たないため、学会等への公表は安定的に入手できるドイツのクレフェルドの汚染布を用いて実験をやり直し、再度確認して行う予定である。
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