本研究の目的は非識字の家族の中で、字が読み書きできることが女性の位置づけをプラスに変えること、女性が生活改善に必要な新しい知識や技術を得ることが、生活改善はもとより家族・地域社会の中での女性の位置づけを変えるという仮説のもとに、教育の効果を可視化することである。 研究方法の主流は、現地パキスタンでの聞き取り調査による。平成13年3月6日〜21日の渡航期間中にイスラマバードおよびラホールのノンフォーマルスクール等において、女児74名、女性教師36名、母親62名を対象に、英語からウルドゥー語に翻訳した調査用紙を用いて聞き取り調査(教師と識字能力のある女児は本人が記入)を行った。本年度にウルドゥー語から英訳された回答の集計と分析を行った結果、女児の回答からは、学校の科目のなかでウルドゥー語(国語)や数学の学習が家族のために役立つと女児自身が認識していること、母親の回答からは、娘が読み書きができるようになったことで娘が家族や隣人から大切にされるようになったことや、衣食住生活に関する学習が家族の生活に役立っていること、特に金銭の計算が役だっている等の実態を表出化することができた。 パキスタン滞在中には、Ms. ZOBAIDA JALAL教育大臣をはじめパキスタン・リテラシー・コミッションやSHE(SELF HELP ENTREEPRENEUR)のパキスタンの女子教育問題に取り組む方々にインタビューし、課題とその改善にむけた対策等を直にインタビューできたことは、本研究の大きな実績でもある。 なお、本研究が10月の追加交付であったため補助金対象年度内の発表には至らなかったが、この件については次年度の課題と認識している。
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