昨年度の睡眠アンケート調査に関して、引き続き、睡眠環境の違いと年齢差、男女差に注目して解析を行った。その結果、高齢であるほど、女性の方が寝床内暖房を使用し、寝室を暖房しなくても寝床内が暖かいと評価しており、満足感も高かった。又寝付きが良いと睡眠満足度も高かった。しかし、睡眠満足度には年齢差によって影響が大きく、中途覚醒等への影響は明らかでなく、必ずしも暖めていることが、睡眠に好影響を与えているとは言えなかった。 実際の住宅での温熱環境および睡眠等の寝床気候の実測調査を行った。測定項目は、被験者の行動・体動測定、心拍数、皮膚温測定を1夜行うとともに、寝室・寝床環境評価、睡眠調査日の一日の生活の疲労度・満足度、睡眠満足度等の評価などの申告を測定し、アンケート調査やこれまでに行ってきた人工気候室実験や実則調査の結果と比較検討した。その結果、寝床内温度は、足部皮膚温の上昇にともない上昇し、睡眠中は33℃〜36℃程度である。電気毛布を使用している者は、体動や心拍数より寝付きは速いと判断されるが、睡眠中に寝床内温度が36℃を超え、体動が増えて、腕等を布団から出して寝床内温度を調節しているのが観察された。これは、これまでに人工気候室で得られた寝床内を暖める場合の人体影響と一致すると言える。また、靴下を着用している被験者も、足部の皮膚温が他の部位より高い状況が観察された。
|