本研究は日本人の生活に本格的に洋装が定着した第二次大戦後から今日までの変化を服飾雑誌の製図とグラビアにより調査し、統計的分析を時系列的に行い、洋装導入期・高度成長期と異なる今日の着装の特徴および問題点を明白にするとともに、その結果を着装教育の現状と比較し、今後の教育内容を検討するものである。 平成12年度は被服形態と配色の変化、高校の教科書を分析するために、以下の内容を実施した。 1.第二次大戦後から今日までの製図・グラビア資料を収集し、各計測部位についてデータベースを構築した。なお本学に未収集の資料は、所蔵図書館に出張して計測記録した。 2.製図資料より、上衣ではこれまでに未計測であったジャケットのウエストライン・ヒップラインを調査し計測した。下衣はスカートについて、ウエストライン、ヒップライン、丈を計測して形態を分析した。 3.同時期のグラビアから、アイテム別にカラーセンサーを用いて服種別の色彩と配色を計測した。 4.以上のデータをアイテム、デザインの特徴、配色別に整理し、分布・平均値・標準偏差等による年毎の変化を分析した結果、被服形態を通して流行および着装のあり方が1966年まで、67-75年、76-85年、86年以降に変容してきたことを明白にした。着装の配色では、80年代半ばから従来見られなかった結果を得た。 5.なお、計測部位の相互の関連を検討するために、上述の結果をM.J.Burns氏の分析法に基づいて比較分析し、各アイテムの特徴の出現率の変動平均の動向から、現代日本の着装の変容に影響を及ぼす要因を検討した。 6.一方、高校『家庭一般』から教科書の記述を被服領域の内容別に整理し、着装に関する内容をその他の内容と比較するためのデータ収集と整理を行った。
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