研究概要 |
平成14年度は,これまでの結果を踏まえ,沖縄県における多重債務者の現状と今後の課題をまとめた。その結果,以下のことがわかった。 1.最高裁広報よりの平成14年度速報値及び,平成12年国勢調査による人口統計を用いていて多重債務問題の状況をまとめた。その結果,平成14年の人口10万人当たりの自己破産上位県は,宮崎(299.2),福岡(269.6),大分(265.3),熊本(243.0),佐賀(243.0)の順ですべて九州地区である。ちなみに沖縄県は,23位156.7であった。同様に特定調停の順は,沖縄(2397.3),岩手(726.5),鹿児島(671.5),宮崎(637.0),青森(571.8)となっている。人口当たりの自己破産件数と特定調停の合計を借金トラブル値とすると,沖縄県は2554.1と1位,全国平均533.4の5倍,さらに2位宮崎の936.2と比較しても約2.5倍以上となっている。 2.ボランティア団体である沖縄クレジットサラ金被害者の会(有効回収908人)を対象に調査を行なった。平成14年度を昨年と比較した結果,以下のことが明らかになった。 (1)生活費のための借金が増加(13年度29.3%から14年度36.5%へ増加)特に,これまで生活費での借金が多かった女性だけでなく,男性でも増加している。(男性20.2→27.3%,女性38.4→48.0%)(2)収入のない人が増加(18.2→24.3%)(3)離婚が増加(22.6→30.2%)(4)別居が増加(4.4→5.0%)(5)失業が増加(13.7→26.9%)(6)本人病気が増加(11.3→18.6%)(7)家族病気が増加(5.5→13.6%) 以上から,経済環境の悪化により,全国的に貧しい者の生活の困窮度は進んでいると考えられるが,特に失業率1位,県民所得最下位の沖縄県では加速化しており,それが家族関係等にも連動している。
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