研究課題/領域番号 |
12680113
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 明 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (30158810)
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研究分担者 |
宮野 道雄 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (00183640)
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キーワード | 身体負担評価 / 押引動作 / 高齢者 / 性差 / 家庭内事故 / つまづきパターン / 3次元動作解析装置 |
研究概要 |
前年度までに身体動作特性解析システムが完成し、平成14年度は最終年度としてデータ応用を考慮した追加研究とまとめを中心に行った。 作業高さを変えた作業ブロック(荷重19.6N、49Nおよび最大負荷)の引き操作時における身体動作特性について、若年男女および高齢男女で多面的に検討した。 操作負担感:主観的負担強度に関する5段階評価の結果、作業高さが眼高まで高くなると負担感は増加した。また、若年女子では作業高さが指節点高でも相対的に増加しており、これは低位置での作業を膝関節ではなく体幹を屈曲させることにより遂行するためであることが動作解析システムのデータからも裏づけられた。 床反力と作用点:最大負荷においては、眼高で最も小さく、作業高さが低下するとともに増加した。19.6Nおよび49Nでは、肩峰高以上で有意に増加傾向を示した。前者において、低い位置では全身の筋活動や姿勢変化を動員し、高い位置になると上肢の筋活動を主として用いるためであることが明らかにされた。一方後者の場合においては、指節点高や肘頭高では全身で作業を行う必要がないため、床反力が小さくなったと考えられる。さらに床反力の中心点(作用点)の移動量については以下の特徴が明らかとなった。まず、最大負荷時の眼高において、高齢者の作用点移動量は減少傾向にあった。これは筋力や作業中の柔軟性の低下により、あらかじめふんばった状態で操作を行うことから、反力は大きいが移動量が減少しているのではないかと思われた。また、19.6Nにおいて、男子の移動量は指節点で最も少なくなるのに対し、女子では同じ高さで肘頭高よりも大きくなった。これは男子に比べ筋力の弱い女子では低い位置での作業も相対的に負担になるためと考えられる。 以上、性差、年齢差による引き操作時の身体負担の相違を、身体動作特性解析システムの複数の計測項目により検討した。これをひとつの事例として、今後さらに多くの動作に関する詳細な特性の解明とその応用をはかっていく予定である。
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