これまでの研究から、高齢者の日中活動量と年齢、家事活動量、睡眠時間などとの間には強い関連性が認められたことから、本年度において更に例数を増やし48時間の生活活動をアクティグラフにより連続記録し、これまでに行った10名を加え合計20名のデータについて解析を行った。 その結果、日中活動量と年齢との間には負の相関が認められるが、75歳までは活動量の低下傾向は緩やかであるが、75歳付近を境としてそれ以降は急激に低下することが明らかとなった。また、総活動量と外出活動量、家事活動量との間にも強い正の相関関係が成立しているが、外出活動量と家事活動量とは互いに拮抗しあい、外出をよくする者は家事時間が少なく、反対に家事活動をよくする者はあまり外出しない傾向があり、両者の内の何れかが一日の活動量を規定していることが明らかとなった。なお、同時に環境体温計を装着させて秋期及び冬期における高齢者の居住環境温度と活動量との関係についても現在検討を加えている。 さらに、家事活動のなかでも生理的負担の多い電気掃除機による掃除作業について、機構の異なる5種類の掃除機の操作性を表面仕上げの異なる3種類の床について、掃除作業中の生理的負担(心拍数及び血圧の増加量)より評価した。その結果、若年者では機種による生理的負担の差異は殆ど認められないが高齢者では差が明確に表れ、さらに床条件の違いがストローク速度にも影響することが明らかとなった。 以上の実験結果より、高齢者にやさしいさしい電気掃除機の条件として、まず軽さが要求され、ついでノズルやホースの操作性、そして最後に適度な吸引力があることなどが示唆された。
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