本研究は、これから親になる世代である青年期男女が、次世代を健全に育成するための資質である養護性をいかにして獲得していくかについて、検討することを目的としている。 近年、保育体験学習の充実が求められているが、その目的が充分に達成されるためには、児童・生徒の幼児に対する理解の現状を把握することが必要であると考える。そこで、小学生・中学生・高校生を対象に、イラスト画を提示し、それに対する自発反応を手がかりとして、児童・生徒が幼児をどのように捉え、かかわろうとしているかについて探った。その結果、幼児が困難や失敗場面に遭遇している場面画に対しては、小学生は「助けてあげる」といったストレートなプラス回答が多いが、発達に伴い減少し、躊躇や傍観的な態度が増えていく。また、幼児からの友好的接近を描いた場面画に対しては、プラス回答が多いものの中学生・高校生では「断る」「逃げる」といったマイナス回答も2割あり、女子に比べて男子に多かった。したがって、幼児からの直接的なかかわりの要請に対しては戸惑いや一部に拒否的反応も見られ、発達に伴い幼児とのかかわりに多少の距離感を持つようになることがうかがわれることから、特に男子生徒の幼児への親和性の育成が課題といえるようである。 調査対象をさらに大学生に広げて資料収集を行い、現在、結果を分析している。 また、保育体験学習の受け入れ側である幼稚園・保育所の保育者側から見た問題点や改善点についても資料収集を行い、分析を進めている。
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