1.本研究は、これから親になる世代である青年期男女が、次世代を健全に育成するための資質である養護性をいかにして獲得していくかについて、検討することを目的としている。 2.保育体験学習の目的が充分に達成されるためには、児童・生徒の幼児に対する理解の現状を把握することが必要である。そこで、イラスト画を提示しそれに対する自発反応を手がかりとして、乳幼児をどのように捉えかかわろうとしているかについて、大学生を対象に資料収集を行った。その結果、受容的友好的行為を伴うプラス反応が6〜8割と多く、次いで行為を決めかねているプラスマイナス反応で、拒否的なマイナス反応は3〜13%と少ない。「子どもが好き」が7割を占め女子に多いが、「嫌い」は7%で性差は認められない。1/3の学生は中学・高校生の時に保育実習体験があるが、「体験あり」群と「なし」群の間に差はない。幼児からの直接的接近を表す場面では、受容的友好的反応と拒否的反応に比較的分かれるようであり、子ども嫌いの場合には拒否的反応が強まる傾向が認められた。 3.保育体験学習の受入側である幼稚園・保育所の保育者側から見た問題点や改善点についての調査研究を行った。94%の園は受入経験があり、教育効果として「子どもを好きになる」「保育の重要性を理解する」「自分自身について考える」「子どもの発達を理解する」の回答が多く、「親の役割を理解する」は相対的に少ない。問題点として、観点やマナーの指導、生徒の意識や態度の変化を見てほしい、協力体制を整える必要がある、の回答が多かった。 4.大学生が幼児と関わる行動の観察および学生自身による内省記録を資料として、幼児に対する捉え方や関わり方が回数を重ねるのに伴いどのように変化するかについて、考察を進めている。 5.新「高等学校学習指導要領」の実施を目前にして、長野県下の高等学校家庭科教員を対象に調査を行い、保育領域における現状と課題について考察を進めている。
|