本研究は布の織り方が目立ちにどのように影響するかを実験で求め目立ち効率のよい布地の織りと色を求めようとするものである。パーティ会場で目立ってみえることはドレスの見えのモードが変化して、物体色から光源色として見えているからと観察される。この、みえのモードの変加点について実験を行い物体色の外限値、光源色モードへの入り口、と「きれい」に見える点の三点の測定を行った。さらに、高齢運転者の増加を考え、高齢者の見えについて、高齢者模擬眼鏡(70才用、80才用)を使用して実験を行った。この、70才眼鏡、80才眼鏡をかけて物体色、光源色の色のモードの変化を捉えた。本実験はその結果を検証し、疲労の激しい視覚の実験を若者が変わって行えるかの検討も行った。 実験 刺激は綿素材で色は赤、黄、緑、青、白の5色、織り方は平織り、綾織り、繻子織りの三元組織で、綾織りと、繻子織りは、縦、横の2方向を用いた。従って試料は全部で25種類である。実験は日常生活の場を模し、その空間に刺激を提示し局所照明によって刺激を照明するものである。装置は前年製作したもので、実際の現場が想定できるようないろいろな物体が周囲にあるようなところに、1つの色刺激を提示した。しだいに局所照明の強さを上げていくと、その空間内の物体としては不自然に見え、それだけが目立って見える、その限界点を測定するというもので、与えた光量を数値でとらえることができるものである。本年の実験は布地表面の見えが光源色になったと感じられる点、きれいに見えた点の測定を行い、布地の目立ちをいろいろな色と織り方で評価した。 実験結果1 光源色モードにはいる照度は織り方の違いより色の違いによって大きく異なる。 2 布地の見えのモードの変化は輝度で良く表される。 3 光源色モードへの変化は外限照度にある照度を与えるとモードの変化が生ずる。 4 「きれい」に見えるための必要照度は個人差が大きい。しかし、全被験者が物体色の外限を出たところで「きれい」と感じている。 5 高齢者模擬眼鏡を使用した実験で70才、80才での、外限、光源色、きれいについての結果に大きな違いはなかった。
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