1.試案した栄養指導プログラムに基づいて軽度精神遅滞児を対象として、1999年に授業を実施した結果を分析・検討し、さらにスモールステップでの学習が可能な「代表例教授法」を適用した栄養指導プログラムを修正した。 2.1.で試案した軽度精神遅滞児を対象とした栄養指導プログラム(試案)を、2000年9月〜12月に小・中学校9校の障害児学級に在籍する児童・生徒43名に実施し、その状況および授業終了一ヶ月後、三ヶ月後の定着状況を、対象児童・生徒の発達年齢および保護者の食生活に対する意識の観点から分析・検討した。その結果、(1)本プログラムにより、学習内容のみでなく、未学習の課題・場面・対象食品においても正確な般化、維持が可能な者がそれぞれ約8割に認められた。(2)発達年齢の低い対象者のうち、概念習得、食物行動習得およびそれらの般化が可能であった者の保護者に、栄養に対する意識が高く、対象者に対して栄養に関する働きかけを行っている者が多いことが認められた。このことは、授業内容の習得を支援し、強化する環境条件や随伴性の整備が必要であることを示唆している。なお、分析に際しては、「代表例教授法」「栄養教育」等に関する国内外の文献を検討した結果を踏まえた。その成果の一部は、日本家庭科教育学会第44回大会において発表した。 3.軽度精神遅滞児の食物選択の基準(要素及びその優先順位など)及びその影響要因を検討することを目的として、障害児学級に在籍する児童・生徒を対象に、料理メニュー表から1食分の献立を選出させ、その選出理由を問うインタビュー調査を実施・検討した。その成果は、日本家政学会第53回大会において発表した。 4.上記の結果をもとに、再度、本プログラム(試案)を検討した。
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