牛肉スープストックの調製におけるコラーゲン由来物質の溶出と味への影響について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、官能検査等を用いて検討した。また、コラーゲン由来物質の影響をより明確にするため、コラーゲンを多く溶出する牛骨スープストックについても同様の分析を行い比較検討した。加熱調製時間の影響について見ると肉スープストック、骨スープストックとも1時間から6時間の範囲で加熱時間の増加に伴い溶出タンパク質量および低分子のペプチド量(5%TCA可溶性成分)の増加がみられたが、骨スープストックでは、特に顕著に増加した。溶出タンパク質のPAGEパターンは、肉ストックと骨ストックで異なっていた。このゲルを転写した後タイプIコラーゲン抗体を用いて行ったウェスタンブロッティングパターンは、ほぼ同様の分子量のバンドパターンを示し、コラーゲンが分解して生じたゼラチン成分のパターンに大きな差は認められなかったが、加熱時間が長くなると骨ストックの溶出パターンでより低分子化したバンドが認められた。一方、タイプIIコラーゲン由来物質は骨ストックで分子量60000のバンドが確認された。1、3、6時間加熱して調製した肉スープストック中のタンパク質・ペプチド成分をHPLCにより分画後、電気泳動、タイプIコラーゲン抗体によるウェスタンブロッティングを行った結果、コラーゲン由来成分を多く含む画分の経時的増加が認められた。肉スープストックおよび骨スープストック、肉と骨を合わせて調製したスープストックの3種を用いた食味官能検査においては、肉と骨を合わせて調製したスープストックが最も好まれていた。
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