研究概要 |
可溶性の難消化性多糖類による食餌中Caの吸収や利用性、骨の健康への影響を解明するために、本年度はペクチン、プルランの投与による幼ラットにおけるCa吸収や骨塩量への影響を検討した。3週齢のSD系雄ラットを5%セルロース食群、5%ペクチン食群、5%プルラン食群に分けて8週間飼育した。各飼料のカルシウム含量は0.3%とした。血中Ca、Caの見かけの消化吸収率、尿中へのCa排泄量を測定した。また大腿骨の重量、灰分含量、ミネラル(Ca,P)含量を測定し、さらに尿中ピリジノリンと血中オステオカルシンを測定した。その結果、各群の体重、飼料摂取量、Ca摂取量、飼育期間中の血中Ca濃度、に有意差はみられなかった。Caの見かけの吸収率についても有意差が見られなかった。尿中へのCa排泄量に差はなかったが、P排泄量はペクチンやプルラン投与で有意に高値(p<0.05)を示した。大腿骨中のCa含量はペクチン群が有意に高値(p<0.05)を示し、プルラン群も有意ではないがやや高い値で、骨塩量増大に有効な可能性が示された。しかし、骨重量、灰分含量には各群間での有意差は見られなかった。尿中のピリジノリン排泄量は他群に比べてペクチン群が低い傾向であった。 近年、タマネギによる骨代謝への影響も示唆されている。タマネギはオリゴ糖が多く含まれ、また日常多く摂取する食品でもあるので、その骨の健康への影響についても検討した。その結果、タマネギ食投与により、コントロール食群に比べて血中Ca濃度、Caの見かけの吸収率、尿中へのCa排泄量に有意差が認められなかった。しかし大腿骨のCa含量はタマネギ食群では有意に高い値になり、骨の健康への有効性が示唆された。 これらのin vivo研究とともに、来年度に骨細胞を用いるin vitroでの研究に発展させるために、研究設備を整えて予備実験を開始した。
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