研究概要 |
アルミニウムは神経毒性を有するが,地球上のいたるところに存在するため,体内への取り込みは避けられない.そこで摂取したアルミニウムの排泄の可能性を食物繊維,なかでも粘性多糖類の金属イオン結合能の点から検討する.さらに多糖類を糖構成と化学的構造面から調べる.またヒト胃条件下(pH2)での食物繊維とアルミニウムとの結合安定性について調べるとともに,加熱が粘性多糖類の金属結合能に及ぼす影響について検討する. 本研究は平成12年度から3ヵ年計画で行っているが,12年度は主に試料調整を行い13年度は(1)水溶性および水不溶性食物繊維のアルミニウム結合能(2)食物繊維とアルミニウムのpH2条件下における結合安定性の検討を行った. アルミニウム結合量は,一定量の食物繊維に一定量のアルミニウムイオンを添加し37℃で1時間振盪後,残留イオン量を水溶性はエリオクロムシアニンR吸光光度法,水不溶性はクロムアズロールS吸光光度法で測定した.このとき添加したアルミニウムイオンから残留イオン量を差し引くことで結合量を算出した.また,pH2の調整には市販の金属測定用塩酸を超純水で0.1モルに希釈して用いた. その結果,アルミニウムは水不溶性より水溶性食物繊維とより結合しやすいことが認められた.水溶性食物繊維のアルミニウム結合量は粘性を有するアロエが最も高く,次いでオクラ,ナス,マッシュルーム,セロリ,キャベツ,ゴボウ,ニンジン,ダイコンであった.水不溶性では,ゴボウ,ヒジキ,キャベツで特にアルミニウム結合量が高くなった.またこれらをpH2にすると結合量は著しく低下することが認められた.
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