研究概要 |
Alが神経毒性を有することは,すでに多くの研究から明らかにされている.また'02年3月に大阪大学の遠山正哉らがAlはアルツハイマー病を引き起こす危険性があると報告して以来,新たな関心を隼めている.一方摂取したAlも食物繊維などと結合し,速やかに排泄されればヒトに与える影響は少ないと考えられる.13年度までにAlは食物繊維と結合しやすいこと,水不溶性より水溶性食物繊維に結合しやすいこと,また粘性多糖にその傾向が強いことを明らかにしてきた.そこで今年度は,Feイオンと非消化性多糖類との結合性について検討した.さらに一部の試料については加熱が多糖の官能基や分子量,構成糖に及ぼす影響ついて検討した. その結果FeイオンはAlより不溶性食物繊維に結合しやすいことが認められた.水溶性食物繊維の場合は,Alに結合しやすいものと,Feイオンに結合しやすいものとに分かれたが,その原因までは明確にできなかった.これらをヒト胃と近似のpH2にすると,モロヘイヤやセロリ不溶性食物繊維などを除いてAlおよびFeイオンの結合量は著しく低下した.その傾向はアロエで特に著しかった.食品を加熱すると,非消化性多糖のOH-基やCOOH-基が影響を受けた.また,一部で遊離のCOOH-基の増加が認められた.加熱はまた酸性糖を増加させたが,同時に非消化性多糖を低分子化して,粘性を持たないほとんどの食物繊維の金属結合能を低下させる傾向にあった.
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