研究概要 |
生活習慣病の1つである骨粗鬆症およびそれに伴う骨折予防の上でもっとも重要な点は、若年期にいかにPeak Bone Mass(最大骨量)を高めておくかであり、骨形成の著しい成長期に骨の健康づくりのための健康管理をいかに身につけるかは重要かつ急務な課題である。本研究は、身体の発育発達の著しい健常な成長期女子484名(12歳〜16歳)を対象に、この時期の骨の健康状態を把握し、さらにそのための評価基準、および保健指導のあり方を検討することを目的とした。 平成12年度は、DIP法による第2中手骨および超音波法による踵骨骨量を測定し、各パラメーターの評価を行い、それらに対する関連因子について検討した。その結果、皮質骨主体の第2中手骨は15歳でピークを示した。一方、海綿骨主体の踵骨は、とくに音響的骨評価値を示すOSIおよび透過指標を示すTIは、年齢の上昇とともに高値を示し、15,16歳においても増加傾向を示した。 平成13年度は、昨年度に実施したDIP法による骨量測定において撮影されたフィルムをもとに骨年齢(成熟度の指標として)を求め、DIP法による第二中手骨および超音波法による踵骨骨量との関連性を追究し、さらには安全性の点で最も優れる超音波法による骨量測定の位置づけ、成長期女子の骨の健康づくりに対する保健指導のあり方等を検討した。その結果、骨の形成過程である成長期女子においては、第二中手骨および踵骨の骨評価の各パラメーターによって、また年齢によって、関連する因子の影響の程度は異なる可能性が示された。さらには、成熟度の指標としての骨年齢を加味した骨評価においては、超音波法による踵骨は、成熟度(骨年齢)に比べ体重およびBMI等の体格に関連した因子の方が関連性が強いことが示された。したがって、成長期女子における超音波骨評価は、成長期の健康管理の一環として、非侵襲的であり安全性に優れる方法として有効であること、身体の成長に見合う体格等(適正な体重および初潮発来の有無等)の適正な評価が実施されれば、成熟度としての骨年齢を評価対象に加えることなく超音波法による骨評価を実施することは何ら問題なく、極めて有効である可能性が示唆された。
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