研究概要 |
(1)蒟蒻精粉の製造時の廃棄物「飛粉」を食品素材開発する主目的の除臭ついては,飛粉を25%エタノール水溶液中で超音波15分間処理することで精製に成功した。この精製した飛粉(素材A)には炭水化物,食物繊維,たんぱく質,無機成分など機能性成分が豊富に含有していた。素材Aの微細構造を電子顕微鏡で観察したところ,素材Aは成分粒子の分散形態が確認され,食材として活用しやすいことを示唆し,有用な食品素材として期待された。 (2)飛粉を食品素材として普及させる目的で食パン,カステラ及びラスク,ビスケットの調製に活用し,性状,嗜好や保存性に及ぼす影響を研究した。その結果,素材Aを食パンには7%,カステラ及びラスクには7.5%,ビスケットには10%まで小麦粉と置換でき,従来の食パン,カステラ及びラスク,ビスケットに無い好ましい食感を付与し,保存性の向上がはかれることを見出した。また,蕎麦麺の「つなぎ」に素材Aを適用し,飛粉ゾルを調製し蕎麦粉を加えて蕎麦麺を製造し,品質に与える影響と生麺の保存性について研究した。その結果,蕎麦麺のつなぎとしては素材Aの7.5%添加が最適で,この麺は蕎麦粉100%麺に比べ,吸水量は多いが,茹汁への溶出量は少なかった。その上,蕎麦麺は硬く弾力性を備え切れにくくなり,伸びが抑えられた。官能評価でも蕎麦粉100%麺より好まれた。生蕎麦麺を5℃で24日間保存中の生菌数は蕎麦粉100%麺では8日間で可食限界の3×10^6/gに増殖したが,素材A7.5%添加麺では15日間まで延長され,真菌数や酵母も10^2〜10^3/gレベルを保持し,食品素材Aの抗菌作用が期待された。これらの結果により飛粉の素材Aは新規食品素材として他にも利用できる可能性を提供した。
|