研究課題/領域番号 |
12680145
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
大羽 和子 名古屋女子大学, 家政学部, 教授 (80023480)
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研究分担者 |
松岡 信 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 教授 (00270992)
藤江 歩巳 名古屋女子大学, 家政学部, 副助手
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キーワード | アスコルビン酸 / L-ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼ / タバコBY細胞 / アンチセンスコンストラクト / 細胞分裂 / 形質転換植物 / ビタミンC |
研究概要 |
高等植物の組識にはミリモル濃度のアスコルビン酸が蓄積していることがよく知られている。アスコルビン酸は抗酸化剤として働き、光合成、酸化的代謝や種々のストレスで生成されるフリーラジカルや活性酸素を消去することによって、植物を酸化障害から保護している。アスコルビン酸はまた細胞分裂、伸長、肥大にも関与している可能性がある。高等植物におけるアスコルビン酸生合成の最終段階を触媒する酵素はL-ガラクトノ-γ-ラクトンデヒドロゲナーゼ(EL1.3.2.3,GLDH)である。本研究ではタバコのBY-2細胞のGLDHのcDNAをPCRによりクローニングした。GLDH遺伝子をアンチセンス方向に導入したBY-2細胞の形質転換体のうちBY-2 GLDH cDNAの中程400bpをアンチセンス方向に導入したAS1-1とBY-2 GLDH cDNAの3´-末端600bpをアンチセンス方向に導入したAS2-2の2つがアンチセンスRNAを発現していることが判明した。そこで、この2つの形質転換体の解析を行った。AS1-1およびAS2-2は元のBY-2細胞のアスコルビン酸レベルの24%、27%と低かった。ノーザンブロット分析で、AS1-1とAS2-2のGLDH mRNAの発現は著しく抑制されていることが明らかになった。その結果、GLDH活性も著しく低くなっていた。同調培養した結果、AS1-1とAS2-2の細胞は細胞分裂が抑制され、mitotic indexがwild typeより低くなった。おそらく、アスコルビン酸濃度が低いために起こったと考えられる。細胞生長の速度も遅れた。AS1-1とAS2-2のカルスとwild typeのカルスの形態が異なった。AS1-1とAS2-2のカルスは粘々して軟らかくなった。物性測定によってレオロジカルに軟らかいことが判明した。さらに顕微鏡観察により、これらの形質転換体の細胞は異常に細長くなっていた。すなわち、顕著に一方向に伸長することが判明した。 本研究により、アスコルビン酸レベルが低下すると、細胞分裂、生長、植物細胞の構造に変化が起こることが判明した。
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